「マティーニと俺」 俺は昔、アイドルだった・・・ アイドル時代は寝る時間もなく忙しく 気づけば心にぽっかりと穴があいたようだった。 「なぜ、俺はここにいるんだろ・・・」 「毎日毎日何やってるんだろ・・・」 そんなことばかり考え何年も過ぎてしまった。 そんなある日、いつものようにソファーで マティーニを飲みながらオリーブをかじっていると そのオリーブの中から小さな小さな女の子が出てきた。 その女の子は背中に太い二本の毛が生えていて、 ブルーの薄い1枚布を体に巻きつけていた。 「あなたは、本当の恋をしたことがありますか?」 な、、なんなんだ?飲みすぎか? その言葉を残し、女の子は窓から飛んでいった。 本当の恋・・・・そいえば、俺は長いこと恋をしていない! ただ一度・・髪の奇麗な先生にあこがれたことはあったが そうだ!恋だ!俺に足りないのは本当の恋なんだ! 俺は本当の恋を探して旅に出ることにした。 前に本で読んだのだが、本当の恋をみつけるには 西にある海に浮かぶ島で愛を手に入れなくてはいけないらしい ただ、その愛を手に入れる場所に行くためには 行く手を妨げしノースヘアーという岩肌のコケを取らなければ 愛をつかむことができないのである。 コケを取るには金のはさみをさがさなくてはいけないのだ。 金のはさみなんて、どこにあるんだ? 俺が立ち往生していると、木陰から白い髭を生やしたみすぼらしい おじいさんが出てきた。 「あんたも愛を手に入れるのか?、ふひゃひゃ 全ての謎は自分自身にあるのじゃ」 「謎?」 「そうじゃ、金のはさみも自分自身から探し出すのじゃ」 「あ?、俺の体にはさみがあるのか?」 「ふひゃひゃ、ワシはここまでしか言えん。 ワシも昔、ここに愛を取りにきた若者だった・・・」 おじいさんは遠くを見つめた いったい、謎が自分自身にあるというのは何なんだろう 俺が金のはさみを持ってるのか? 気が付くとあたりは暗くなり、おじいさんもどこかに消えていた。